あなたに答えは贈らない あなたに ひとつの問いかけを贈る(谷川俊太郎)
2025.06.01
2024年11月13日に満92歳で命終した詩人谷川俊太郎の詩「三つのイメージ」の結びの言葉です。
氏の母校である東京都立豊玉高校の卒業式では毎年朗読されているそうです。AIはますます進展し、私たちの生活も一気に変わっていくことと思います。
インターネットが普及し、スマホは手放せなくなりました。情報や知識、答えを手にすることは容易になり、瞬時に「答え」が手に入ります。私たちが待てなくなった、考えなくなったとも言えます。
それだけに「ひとつの問いかけを贈る」との一語は新鮮です。
「あなた」とは、私へのよびかけです。誰もが私の価値観や物の見方を立場として、物事をとらえ、評価し、判断しています。そういう私に「あなた」という声が届くのです。私が「あなた」に転ぜられる、主客の転換=立脚地の転換です。
親鸞聖人は「汝の言は行者なり」(『愚禿鈔』・聖典①455頁)、「汝(あなた)」とよびさまされる時、本願の行者が誕生するのだ、と。
そして、清沢満之先生は「自己とは何ぞや、是れ人世の根本的問題なり」とよびさまされました。
さて、私における「ひとつの問いかけ」とは・・。南無阿弥陀仏