汝自身の願いをはっきりと知れ(暁烏敏)
2023.08.01
「他に対してものをたずねるよりも、汝自身の願いをはっきりと知れよ、何よりも先に自覚せよ、と世自在王仏は言われたのであります。このお言葉は、ただ法蔵比丘が聴かれた言葉であるばかりでなく、我々が世自在王仏から受ける最初の教訓であると思います」(『暁烏敏全集』第1巻313頁・『仏説無量寿経講話』)
昭和29(1954)年8月27日が暁烏先生のご命日だが、今夏は御正当の27日に拙寺の「香草忌(こうそうき=香草院釋彰敏)」をお勤めすべく、お待ち受けの只中に身を置いています。
林暁宇師はじめ、谷田暁峯師、島﨑暁民師、岡本暁禮師、蒲池暁青師、松田章一師など、暁烏先生門下の諸師に遇うことがなければ、さて私はどうなっていただろうか・・と思うことが折々にあります。「もしよきひとにあわざれば」(林暁宇師)の一句は、私にとっては極めて重いのです。
世自在王仏が法蔵比丘に対して発した、「汝自當知(にょじとうち・聖典10頁)」の一言に暁烏先生は出遇われます。清澤満之先生から教えられた、ギリシアのデルフォイの神殿に刻まれた「グノーシス サウトン(汝自身を知れ)」との金言と共鳴し、仏説無量寿経の眼目を「汝自當知(汝自らまさに知るべし)」に聞きとられます。さらに下巻の「皆當往生(皆まさに往生すべし)」を合わせ、たった八文字二句だけで全巻を読破された暁烏先生の姿勢に、「教学する」(池田勇諦師)具体相を見せつけられます。南無阿弥陀仏