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貴方の感じられている虚しさこそ真実の世界への強烈な憧れなのです(米沢英雄)

2024.12.01

真宗教団連合法語カレンダー「12月」に掲載されている法語です。
貴方の感じられている虚しさこそ真実の世界への強烈な憧れなのです

福井県の医師 米沢英雄先生の仰せです。
出典を本山出版部に問い合わせたところ、『同朋』1967(昭和42)年9月号に掲載された『若き友へ』でした。一流企業に就職したものの「空虚を感じている」と苦悩する青年に宛てた米沢先生の手紙の中の一節でした。
この言葉を選んだ本山出版部宮谷氏の信眼に感服するとともに、思い通りになってもやはり虚しい-との嘆きは、オンデマンド時代―望みが叶う現代を生きる私にも共通する一点として強く響きました。

出典の一部を転載します。

「お手紙拝見しました。一流会社へ就職され三年たって、この頃毎日、空虚を感じているというおことば、もっともと存じます。・・貴方が現代文化の中に生きて、なお空虚が感じられるということは、貴方一人の感じのようですが、実はあなたの内面の魂が目覚めたがっている予報でしょう。私たちは、どこかわからないけれども、真実の国から、この世へ人間として生まれてきたようです。人間として生まれた時、真実の国へ帰りつくまでは心の安らぎがないようにつくられているようです。我国(真実の国)に生まれんと欲(おも)えという言葉がありますが、貴方の感じられている虚しさこそ、真実の世界への強烈な憧れなのですね。憧れは憧れだけで終わらせてはなりますまい。真実の世界へ行きついて、ああ、ここをこそ自分は探し求めていたのだと、自分の足で行きついて確かめねばなりますまい。自分の足で行きつけるかと疑われるかもしれませんが、そのためにこそ、先人の教えという真実の国への案内図があるのですね。・・真実の国へ行きつく道は、ナムアミダブツを称える一つだと教えてくださいました。ナムアミダブツは、実は真実の国から私たちの足許にまでつけられた直通の道だからです」

四通りの清浄な世界を見せられ、たとえ理想の国に行っても満足無し-と目覚めた韋提希夫人に、阿弥陀の浄土に生まれたいとの願いが発起した教説と重なります。どうなっても満足無し、そこが真の求道の出発点なのでしょう。

今年も残りわずかです。
言葉を覚えて終わりでなく、私にとってはどうか・・との問いを引っ提げて、お互いに実験あるのみ。迎える明年も共に聞思を。実験を。南無阿弥陀仏

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