驚き 発見 出立 (林暁宇)
2022.01.01
出遇いには、まず「驚き」があります。今まで夢にも思ったことのないようなことに出遇った驚きです。「そんなことはわかっていた」とか「知っていた」ということではなく、まったくの驚き。「驚き」と同時に「発見」。目が覚める。そして同時にそこから「出立(しゅったつ)」。出発。発心(ほっしん)。「ああそうか、これでわかった」で終わるなら出遇いとはいえない。新しい歩み、人生が、そこから始まる。こういうことが備わったものを「出遇い」というのです。
林暁宇講述『君は君の願いに生きていけ』

林暁宇師(大正12〈1923〉年―2007年4月29日・84歳西帰) 北海道浦幌町の農家に生まれる。17歳で結核発症し、死の問題に突き当たる。気を紛らわすために・・とたまたま手にした仏教雑誌『慈悲の国』(高橋常雄師主宰「聖徳会」発行)との出遇いから、病弱の念仏者赤禰貞子(あかねていこ)さんに遇い、生涯の師 暁烏敏師の寺に起居して大谷派僧侶として歩みを始める。生涯、寺の住職になることも、持ち家に暮らすこともなく、借家暮らしで自らの住居を「具足舎」(「日々の生活に既にして教えが具足している」との表白である)と名づけ、多くの道友との交流を生涯続けた。
