『念仏と国家』暁烏敏
2021.04.09
政治は経済でない。経済をもう一つ超えたところになければならん。こういうことを私は考えています。 『念仏と国家』『暁烏敏全集』第20巻528頁
現代日本が見失っている一点は、どうやらここです。新型コロナ下の迷走を見るにつけ、この一言が病巣を射抜いています。
昭和28年8月21日、7日間続く恒例の「第44回夏期講習会」最終日の講話です。
翌29年8月27日に齢78歳で西帰されますので、生涯最後の夏期講習会での講話となります。しかも講題としていた「九品往生人」が前日で講了となり、「六日で終わってしまったので、今朝はこれから自分の所信を語らせていただきます」と話を始めています。盲目の師には原稿もメモもなし、しかも予定になかった一座の講話です。
「党とは血ですね。宗教は血の関係を離れております。宗教に民族的な血の匂いがある以上は、宗教は個人的なんです。そこには世界が一つになる道はないんです」
「天皇様とは「法に背き義に違し」ということをしない方でなければならん。そういうことのある方は、天皇じゃない」
「血を重んずるのでなしに、ほんとうの法を重んずる。これが『十七条憲法」に現れておる法治国の精神です。すべての我々の生活が法によって治まる。天地の大法によって治まる。誰の血統じゃ、というようなものは間に合わない。そういうことを間に合わすということが間違いです」
「親鸞聖人の血統が大事でない。大事なことは真理であります」
「親鸞聖人の教えの下に、我々は国家というものを頂上最高に見てゆくか、国家を宗教の下に考えてゆくか、その問題ですね」