• 教えに遇う
  • 了善寺について
  • お墓・葬儀・法事
  • 暁宇会
コラム・法語
コラム・法語

コラム・法語

臘扇忌お待ち受け始まる!

2023.06.20

島﨑暁民師(石川県称佛寺住職・昭和5年生まれ・92歳)

一昨日(6月18日)に拙寺臘扇忌が勤まりました。
Zoomにてご自坊からご出講いただいた島﨑暁民先生から、今日(6月20日)午後に「法礼が届いた」との御礼の連絡を頂戴しました。

耳も遠くなられて、ほぼ一方通行の電話でしたが、「来年は阿含経、スッタニパータの総仕上げにかかります」との力強い声に驚かされました。
山代温泉の文房具店の一人息子として生まれ、近くの出雲路暢良(暁寂)師の紹介で、崇信学舎に下宿し、京都大学仏文科に進学。『暁烏敏全集』の編集に携わった後、石川県庁に就職されました。建設会社に勤務した後に起業独立するが倒産。会社を整理して、シルバー人材センターの紹介で夜警の仕事に。
「夜警の仕事は、本を読む時間が沢山あって楽しかった」と言っておられました。『清澤満之全集』(法藏館版)、『暁烏敏全集』を生涯読み続けておられ、いずれも見たことがないほどにボロボロになっています。読み破るとは、こういうことだと見せてくださいます。
清澤師が読んだ書物、例えば佐藤一斎、阿含経、ソクラテス、エピクテタス、ヘーゲル、カント、臨済録、論語等々、片っ端から読む学びを続けられています。

称佛寺様にご出講されたこともある、池田勇諦先生がある時、私にこう言われました。
「百々海さん。島﨑先生はホンモノの仏者だ。一生涯裏街道を歩いておられる」。つぶやきのような、その一言は、維摩居士の如き師を的確に讃嘆されています。

今日の電話では「デイケアに行きながら、来年までに釈尊を学びます」と。その語気から、先生においては一年中「臘扇忌」なのだな、と初めて感じました。

電話で仰っていた中国の魯迅の言葉。
「希望が虚妄なれば、絶望もまた虚妄なり」。島﨑先生いわく「どうしようもない、真暗な時代の中で、絶望にあえぐ若者たちに魯迅はそう言ったのだ。魯迅のこの言葉は、若い頃からずっと引っかかっているんだ」と。

絶望にも絶望せよ、と聞こえました。魯迅は「自力の心をふりすてて弥陀をたのめ」とは言わなかったけれど、同じ天地を示している、と私は仰ぎます。

「人(にん)の誕生」とはよく聞きますが、「誕生した人」は実におそろしいです。先生、どうかお元気で。また遇いに行きます。南無阿弥陀仏

一覧へ戻る

真宗大谷派 東本願寺

真宗大谷派(東本願寺)西恩寺

加賀福祉会

浄土真宗の法話案内

響流書房

ページの先頭へ