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コラム・法語
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「生きねばならぬ」と考えることから、世界は殺しあっておる

2022.02.26

虫も殺せぬやさしいお嬢さんが「この豚カツは美味しい」と仰る。



明達寺から発行されていた月刊誌『広大会(こうだいえ)』の編集人、毎田周一師の寸言である。毎田師は西田幾多郎に学び、暁烏敏に師事した鋭敏な真理の探究者である。

資本主義は離すまいとする。共産主義は奪いとろうとする。この二つの思想に共通する立場は、「生きねばならぬ」という考えである。
「生きねばならぬ」と考えることから、世界は殺しあっておるのである。



暁烏敏師の高弟、西村見暁師「生死巌頭」の一節である。こちらも『広大会』昭和27年5月号所収だが、両師共に「根本原因」をえぐり出している。緊急対処は当然必要だが、物事の本質を見抜く眼こそが信心の智慧。いずれも両師に聞こえた如来の大命であろう。


ロシアのウクライナ侵攻の報道に接し、スペイン風邪と世界大戦の100年前に回帰したような違和感が強い。人間の本質は一切変わっていないどころか、事象としてはサイバー攻撃が増えた分、厄介になり、核兵器の存在は世界の破滅もお話ではなくなったことを物語る。

「戦争するのも仏わざ、戦争に反対するのも仏わざ」と喝破された先達の仰せが私には響く。「戦争も仏わざとは!現実を肯定するのが仏法か!」との反発もあろうが、現実それ自体は肯定も否定も超えている。境遇全体がもともと「仏わざ」なのだから。だから「平和も仏わざ」、「結婚も仏わざ」、「離婚も仏わざ」と仏は呼びかけたもう。
一切は「ご因縁さま」のお運びどおり、狂い無く厳粛である。成るように成っているのだ。思う以前に成っているのだ。そして戦争を引き起こす「縁」を模索せねばならない。そこに立ち帰り、分を尽くすのみ。逃げるか、留まるか。戦うか、降伏するか。遠く日本から、応急処置としての両国の即時停戦を期待する。また今できることとして、ウクライナ難民支援の募財にも協力したい。

ところで我が国はもちろん非武装ではない。さらに核保有国である米軍の基地と原子力空母に守られている現実を思うに、毎田周一師がいわれるとおり、非戦とは実は命がけのことである。この点を外しては、話が軽くなるとつくづく思う。南無阿弥陀仏

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