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コラム・法語
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NHK大河ドラマ『どうする家康』

2023.03.08

家康の陣羽織だった裂で仕立てた七条袈裟 (愛知県岡崎市 淨妙寺様所蔵)。 家康の大伯母 宝幢院 (松平家六代信忠の息女)が同寺14代住職のもとに嫁いだという。天白住職の許しを得て撮影させていただいたが、この七条袈裟は大切な法要の際に現在も着けているという。

作者古沢良太氏は「人生は、正解の無い決断を「どうする?」と決断を迫られることの連続でしょう?」と言われています。  大河ドラマ「どうする家康」 – NHK

そのとおり。態度決定の繰り返しこそが日々の生活の実際です。
「行きたくない会議に出席するか、欠席するか」「今度の依頼を引き受けるか、断るか」「同居するか、別居するか」「チャーハンにするか、ラーメンにするか」「あのマンションを買おうか、もっと他を探そうか」・・。
浄土真宗とは、態度決定を与える指針=「宗」=となってはたらく、「処世の完全なる立脚地」でした。
選択基準は「自分の都合」以外にないので、「どっちが得か、よーく考えてみよう」と決められず、決めても後悔の繰り返しばかりの私に、「他に道無し、南無阿弥陀仏」と正しく定まる決断となってはたらくのが仏法、ガチャガチャの日常生活をそのまま実験生活に転じるのが浄土真宗です。

観音菩薩〈聖徳太子〉が女身と成って、若き日の親鸞聖人に「一生之間能荘厳」(山あり谷ありの汝の一生を成仏道として必ず荘厳します)と誓ってくださった。「地獄に堕ちても後悔無し、罪の身を生きん」との態度決定を阿闍世に恵んだ。たとえ実験生活が失敗の連続であっても、一切を仏道の材料に転じて摂取せん―との本願の仏道です。

徳川家康がおさめる三河(愛知県岡崎市一帯)は、浄土真宗の風土が根付いている土地柄です。ドラマでも一向一揆の場面が放映されていますが、浄土真宗は「独立自由の人」を生む本願の教えであることがわかります。
加賀の国(石川県)の「百姓の持ちたる国」と同様に、三河の本證寺・上宮寺・勝鬘寺などの真宗寺院は、世俗の権力や年貢の徴収が及ばない「不入の権」を得て、寺を中心とした自治領が形成されていたようです。一向一揆の実際については史料も乏しく諸説あり、評価もわかれます。ですが「浄土真宗が全生活の根本基盤となってはたらく」「決断を生み、態度決定を与える教え」であったことを伝えています。

また江戸の真宗寺院の多くは、家康の家臣本多正信らの尽力など、三河がルーツです。家康の江戸入府は1590年、江戸城の築城開始は1603年、拙寺の開創は1621年八丁堀にて。関東大震災で古文書が焼失しているのでわかりませんが、了善寺も三河系武士のひっそりした道場が発祥かもしれません。

ドラマですから、劇中で語られる教義や空誓上人の法話には「?」もつきますが、ドラマのタイトルは、まさに真宗の実験生活そのものです。南無阿弥陀仏

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真宗大谷派 東本願寺

真宗大谷派(東本願寺)西恩寺

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